虎屋の羊羹
虎屋 | |
風月堂 | 花園饅頭 |
大切なお客様へのご進物とか東京から帰省の折の手土産とかに購入するのですが、私も最中や羊羹が好きで店舗の前を通ると購入したい気分になります。
虎屋店構えは、カステラの風月堂とか、日本一高い日本一うまい花園万頭の売場とはちょっと違う雰囲気がありますよね。 これがブランド力ということでしょうか。
虎屋の商品は羊羹の他、最中や焼き菓子、干菓子やお汁粉等、小豆や砂糖・寒天を中心とした材料で作られています。
最中 | 焼き菓子 | 干菓子 | お汁粉 |
虎屋は室町時代の1501年京都で創業とありますから創業513年という桁はずれの歴史があるのですね。古くより御所の御用を務めていましたとあるように、代々天皇への御用達の製菓業として今では伝統企業の国際組織であるエノキアン協会(本部パリ)にも加盟しています。関ヶ原の戦の折、西軍の犬山城主・石河備前守(いしこびぜんのかみ)を虎屋がかくまった故事があるらしい。
1628年店舗の敷地(京都市上京区烏丸一条西入・現在の虎屋菓寮の所在地)を買い増した証文(土地売券)が残っていたり、江戸時代のユニークな虎屋看板が残っていたりと、現在は17代当主として黒川光博氏が代表取締役を務めて、2014年6月1日現在で918名(男293名、女625名)の従業員と188億7千1百万円(2013年売上実績)の売上がある会社であります。
企業にとってのコンセプトは一番大切なところですが、虎屋のコンセプトはいたってシンプルで「お客様に和菓子を「美味しい」と喜んで召し上がって頂きたい」というものでした。又、「和菓子の歴史は虎屋の歴史です。それぞれの時代や風土や生活様式と味覚、そして文学・絵画などあらゆる日本文化の枠が具体的なひとつの形となって実を結んだものそれが和菓子です」というメッセージもありました。
夏目漱石 | 谷崎潤一郎 |
夏目漱石は大の甘党だったらしく、特に羊羹に特別な思い入れがあったようです。
「吾輩は猫である」には東京本郷の老舗羊羹が「上等な菓子」として登場しますし、「草枕」でも、「余は全ての菓子のうちでも最も羊羹が好きだ」という記述がでてきます。
あの肌合いが滑らかに緻密にしかも半透明に光線を受ける具合はどう見ても一個の芸術品だ。ことに青味を帯びた練り上げ方は、玉(ぎょく)と蝋石(ろうせき)の雑種のようで、甚だ見て心持ちがいい。という描写があります。
又、谷崎潤一郎は「陰翳礼讃」の中で羊羹について、玉のように半透明に曇った肌が、奥の方まで日の光りを吸い取って夢みる如きほの明るさを啣(ふく)んでいる感じ、あの色あいの深さ、複雑さは、西洋の菓子には絶対に見られない。と絶賛しています。
しかしながらこの羊羹も似たような物は量販店に行くと1個30円~50円で売っているところもあります。ちなみに虎屋の小形羊羹は1個260円ですから、5倍~7倍の値段が付いています。
普通の人は、これらの羊羹なら恐らく目をつぶって両方食べ比べてもさほど差がないような気がします。それでも5~7倍の差がある、これがブランド力というところでしょう。
羊羹に限らず、あらゆる商品で有名なブランドは存在します。例えばエルメスのバーキンバッグは300万・2500万以上する物もありますから、バッグの機能性の物を入れるだけでよければ100円ショップのバッグからイトーヨーカ堂のバッグだと3000円でもありそうですね。そうしますとエルメスのバッグはブランド力として何百倍~何千倍の価格になっているということになります。
長年に渡り築かれ積み上げられてきたブランド力は恐るべしということですね。しかしながら何年か前の吉兆の使い回し事件で大打撃を受けて一瞬の内に信用が崩壊していったということもありますから、信用を築くには長い長い年月が必要だが、信用を失うのは一瞬ですから信用を築きあげたブランド力が強いというのは頷けます。虎屋が513年も伝統を守り続け人々に愛され続けているということは本当に素晴らしいことだし、そのような文化が数多く残っている日本の日本人であることは誇らしい事だとも思います。
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