国産材を使おう その5

国産材

国産材

1964年に木材の輸入が自由化されて以降、日本の木材は安価な外国産材に市場を奪われてきました。ですから1965年以降の木造住宅の部材は徐々に外国産材の市場に喰われていったのです。
住宅における建築工法も日本の伝統的な木造軸組構造からツーバイフォー工法やパネル工法、軽量鉄骨系構法や重量鉄骨ラーメン構造、ユニット工法やヘーベル等に代表される軽量気泡コンクリート構法等のメーカーも乱立してきて、国産木材の需要はどんどん減っていき日本の林業の衰退が進んでいきました。
何といっても高温多湿である日本の気候風土の中、外国産材が湿気に弱いという特徴があり、構造材としての耐久性という点でかなり問題があります。

法隆寺

法隆寺

日本建築最古の木造建築物として飛鳥寺(593年 1196年に落雷で焼失)や法隆寺(607年)がありますが、法隆寺(607年)は築1300年経過しているにも関わらず構造材がまだ現役で、カンナで削るとまだ桧の香りがするといいます。
私も大型リフォーム工事をする中で現場をスケルトン状態にする。つまり土台、柱、梁等の構造材のみを残してフルリフォームする時に国産材のみを使用した築40年~50年以上経過した建物の場合は、構造材が表面的にそして強度的にも全く問題のない状況が確認出来るのです。
ヒノキの強さの経年変化

ヒノキの強さの経年変化

最も木材は製材してから200年後に強度は最高域に達すると言いますから、築50年や70年位では強度的にはまだまだ発展途上にある訳です。ですから築30年位で解体するというのは何とも理不尽な感じがするのです。
つまり、国産材とは苗木の時から日本の気候風土の中で育ち成長していった木なので、雨や湿気に強い、つまり日本の住宅としては最適という事になります。
それに比べると外国産材や最近多用化されている小さな木片を接着剤で合成した集成材の構造材ではそうはいかないのではないかという懸念があります。

ホームセンターの 木材売り場

ホームセンターの 木材売り場


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気候風土に合った木材を・・・

ジョイフル本田やカインズホーム等で売っているウッドデッキ材や柱材や板材の外国産材を使って見ると解りますが、雨ざらしにした場合には腐食が始まるのが5~6年位ですから、やはり雨の多い日本には適さない事が解ります。
林野庁によると木材の国内自給率は2002年に18.8%まで下がったが、2017年には36.1%に回復してきたという良い情報もありますが人口減少を背景に又、ハウスメーカー等の多種工法の進出等もあり長期的には木材の需要は縮小していく見通しです。
同庁は公共建築や非住宅分野での利用を促してはいますが、世界経済や日本経済も減速していく傾向の中、よりローコストの建築が求められていくようになる可能性もありますから、国産木材の活用の前途も、中々厳しい局面もあります。

隈研吾設計の新国立競技場

隈研吾設計の新国立競技場

東京五輪の会場での隈研吾設計の新国立競技場での木の使い方や、同じく同コンペで敗れた伊藤豊雄による「低層建築の勧め」等、従来の高層建築への疑念があったりと、中低層建築物に木材をたくさん使用していこうという傾向はみられるようになった事は、国産材を使用し、そしてその良さを実感して日本人及び世界の人々にアピールしていく良い契機になるのではないでしょうか。

林業
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林業

4月11日付け読売新聞記事には『「攻めの林業」米国へ杉輸出』と大きな見出しの記事がありました。
近年鉄筋や鉄骨の需要が幅を利かせる建築業界に木造建築の「木の良さ」を広めたいと考えた大分県日田市の林業関係者が米国市場に打って出たという内容です。
現在日本の木造建築は外国産材の輸入木材が多いという現状の中、日田杉の柔らかくて加工しやすく、一方で縦方向の強度が強いという地元木材の良さを世界に広めたいと考えた日田市の林業関係者から米国に木材を輸出しました。
「攻めの林業」の背景には、安価な外国産材の普及により国産材の需要の減少に伴い林業の衰退もあると言います。山が放置され間伐が行われないことによる土砂災害も深刻な問題で、山の手入れにつなげる為、人材育成にも力を入れています。
山を守るという事は、この先の未来に渡り、日本の人や自然を守る事にもつながることになります。
今回の日田杉の輸出から日本の木材の良さを世界に発信し、日本の木材の需要と共に山を守り、人を守り、自然を守る事につながる事を望みます。

一級建築士 蓑田常弘


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プロフィール

蓑田 常弘

Author:蓑田 常弘

一級建築士 蓑田常弘

株式会社ミノダ建築デザイン 代表
LIXILリフォームショップライファ立川代表
株式会社スインクハート 代表


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建築一筋だが、建築馬鹿ではない。

いつ仕事をしているか分らないが、しっかり納期には間に合っている。

自分の好きな建物の仕事で生計を立てられている自分はとても幸せ者だと思う。

1日おきの2kmの水泳はこれからずっと続けたいと思っている。
(楽しみというより修行のような)

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