大人のインテリア その10 「住まい」というものの本質と力

ヴァルター・ベンヤミン

ヴァルター・ベンヤミン
(1892年7月15日ー1940年9月26日)
ドイツの文芸批評家、哲学者、思想家
、翻訳家社会批評家。フランクフルト学派
の1人に数えられる。ドイツ観念論、
ロマン主義、史的唯物論、及びユダヤ
教的神秘主義などの諸要素を取り入れ
、主に美学と西洋マルクス主義に強い
影響を与えた。 ウィキペディアより引用

人間として生きていて、誰しも入りたくない所があるとしたら刑務所と病室という事でしょうか。
ヴァルター ベンヤミンの「室内」についての記述によると「住まいという事の本質は、ひとつの容れ物を我々の心に刻みつけることにあるのだ」とあります。
時代が変われど人間は誰しも自分の家を自分なりの心地良い空間にしようと、それぞれ努力しているのです。
アメリカで刑行された「囚人の発明」と本というによると、刑務所の監獄の中では、どのようにして小物をまとめていくかを解決しなければならないと言います。
監獄のような室内での生活でも、小物は増えていくらしく、それを整理していかなければなりません。
刑務所

アメリカの刑務所内居住スペース

規則正しい生活が強いられる独房の中での生活では、必要な時にすぐに小物が見つけられるようにすることと、独房検査の時に看守に没収されないようにまとめておく必要があるという事らしく、歯磨き粉(コルゲート)の空き箱を筆記用具入れにするとか、段ボールの箱を壁に接着剤で貼り付けて棚を作り、手作りのフレームに入れた家族の写真を飾ったり、カードや眼鏡など細々としたものを入れて置くらしいのです。そうした物の整理や収納と共に空間に物を飾るという事は、それは住まいと変化させることになると言います。

病院の個室

病院の個室

又、私達が病気になり入院する事になると、個室の場合は特にその部屋に自分の持ち物を置いたり並べたりします。時には花を飾ったり、家族の写真を飾ったりして居心地の良い空間にしようと努力します。それらは、自分の居るその空間を「住まい」に似たようなものにしようとしている事ではないかというのです。
中井久夫は「室内」の中で、自身の臨床経験を記述していて「病棟の力は非常に大きなものがあると思います。エスキワールの時代から病棟は最大唯一の治療道具であると言われています。「建物は結局は一種の気品みたいなものがありましてね。うまく言えないんですけど最低、通風と明り、採光が大切ですね」と語っています。

風通しと採光

風通しと採光

私達にとって究極の空間であり、出来れば入りたくない病室や監獄でさえ入った人々は、可能な限り自分のお気に入りのものを置いて、自分の住まいに近づけようとする習性があるようで、そうする事によって心穏やかになり人間の希望と夢を与え生きる活力を与えるのではないでしょうか。

無題

アリストテレス「動物誌」

様々な生き物はそれぞれの動けるテリトリーの範囲の中で主として食物を得る為に昼や夜行動していますが、休憩する時や寝る時にはある程度決まったどこかに居場所を求めているはずです。
最初の生物学者と言われるアリストテレス(前384年―前322年3月7日)の生物に関する研究書「動物誌」では520種類もの動物の生態を研究発表していますが、それらの中にも様々な動物たちの棲(すみか)についての記述が細かく記されていて興味深いものです。


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プロフィール

蓑田 常弘

Author:蓑田 常弘

一級建築士 蓑田常弘

株式会社ミノダ建築デザイン 代表
LIXILリフォームショップライファ立川代表
株式会社スインクハート 代表


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建築一筋だが、建築馬鹿ではない。

いつ仕事をしているか分らないが、しっかり納期には間に合っている。

自分の好きな建物の仕事で生計を立てられている自分はとても幸せ者だと思う。

1日おきの2kmの水泳はこれからずっと続けたいと思っている。
(楽しみというより修行のような)

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