建物づくりにおける「普遍」と「トレンド」について

清水寺

清水寺

長く住み続けながら新しさを失わない建物を作り上げるには、しっかりとした建築の知識(構造、構法、設備)や知恵や生き方の哲学が必要です。
そして一度建てたら少なくとも50年から100年はそこに建ち続ける建物は過酷な自然環境(雨、風、太陽、雪)や人の目に晒されます。

台風の雨風 強い日差し 室町時代に建てられた金閣寺
台風の雨風 強い日差し 室町時代に建てられた金閣寺
建築家としての役割は、人間を守るシェルターとしての建物の箱の頑丈さは当然の事として機能性や使い勝手や耐久性という事も求められます。そして本当のプロフェッショナルというか建築という仕事を自分の生業(なりわい)と決め、その上段を目指すには「普遍」と「トレンド」というもう一つも二つも上の領域も目指さなければなりません。

斬新な建物の中の普遍とトレンド

普遍とトレンドを併せ持つ斬新な建物

普遍とは「ある範囲における極めて多くの物事に当てはまる様」「全てのものに共通している様」という事であれば、気まぐれに作ったものでは無くて時代が経過しても変わらず良いものという解釈も出来ます。
私は建物の設計をする時に、そのような心構えで行っていますが、全ての建物には限られた予算とオーナー様の御要望や考え方がありますから、全ての建物は同じルールやベースの上では建っていないものですが、それらのバラバラな条件の中で作った建物が一度建てたら50年以上も建ち続けるのです。
建設中の新国立競技場

建設中の新国立競技場

街の中のそれらの建物の中には、ろくな設計もしないでいきなり施工したような建物やバラック的な仮設建物もあるし、そこそこ最低限は設計して建てた建物や公共建築や設計コンペで決まった国立競技場のような建物や有名建築家が高額の報酬を貰って設計した力作と様々な建物が街中に並んでいるのです。
ところが普通の市民は、それらの建物がどのような経緯で建ったのかなど知る由もありませんから、あの建物は酷い、あの建物は素晴らしいと勝手に評価しているのです。
フィリップ ジョンソン作 ガラスの家 コルビジェ作 小さな家 ライト作落水荘
フィリップ ジョンソン作 ガラスの家 コルビジェ作 小さな家 ライト作落水荘
地震による倒壊

地震による倒壊

ですから、全ての建物の良し悪しを同じ視点で論する事は余り意味がある事ではありませんが、少なくともそれらの建物に携わった専門家は、それぞれの分野で最低限のプロ意識や責任感そして人間としての矜持を持ってそれぞれの業務を遂行していかなければならないと思っています。
何故なら、建物はどういう理由で建てられたにせよ倒壊や防火といった安全面や日照や美観や衛生面といった公共的な一面も持っていて、望むと望まないとに関わらず50年前後もそこに存在するからです。

それにしても、今街中にある建物の多くはとても安易にそしてプロ意識も無く無雑作に作られて醜態を晒している建物が溢れかえっているという一面もあります。
そのような、建築という街の中のある意味「化け物」のようなものを作り続けて人々は、例え将来何があっても図々しく開き直っていける人でないと務まらないのかもしれません(笑)

ファッションショー

ファッションショー

「トレンド」とは時代の趨勢、潮流、流行の事です。
これらは、時代と共に移ろいやすい傾向がありますから、ひと昔前は斬新で素晴らしかったのに、今の時代では古めかしいという事でもありますが、根本的な意味では流行とは違います。
ファッション業界ではトレンドカラーとか、その時代に受け入れられる形や色の傾向や動向という流行に近い意味で使われる場合が多いですが、その場合はむしろ商売上の戦略というか売る為に業界側が無理矢理つくり出したものに近いかも知れません。

ヨーロッパ古い街並み

ヨーロッパ古い街並み


東京駅(丸の内側)

東京駅(丸の内側)

建物はファッションと違い、一度建てたら長期に渡りそこに存在しますから、ファッションでのトレンドとは少し意味が違ってきますが、目標とすべきところは同じところだと思います。
理想的には「普遍」と「トレンド」という全く矛盾する二つの事を満たす為には、少なくとも良い建物とは、どの時代でも建てた時は斬新で新しいのはもちろんの事、少なくとも10年後20年後、あるいは50年後、100年後でもその時代における感覚でも新しいという何か奥深いものでなくてはならないと思うのです。
ヨーロッパの古い街並みや、日本の室町時代や江戸時代や大正時代そして戦前戦後から受け継がれてきた建物の中でも。その「普遍」と「トレンド」という二律背反を越えて、今でも人間の心に訴える建物が現存するのは事実なのです。


→ブログのトップへ戻る
→ライファ立川のホームページへ
スポンサーサイト



プロフィール

蓑田 常弘

Author:蓑田 常弘

一級建築士 蓑田常弘

株式会社ミノダ建築デザイン 代表
LIXILリフォームショップライファ立川代表
株式会社スインクハート 代表


→ 会社ホームページ

建築一筋だが、建築馬鹿ではない。

いつ仕事をしているか分らないが、しっかり納期には間に合っている。

自分の好きな建物の仕事で生計を立てられている自分はとても幸せ者だと思う。

1日おきの2kmの水泳はこれからずっと続けたいと思っている。
(楽しみというより修行のような)

最新記事
月別アーカイブ
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

建築に関するブログ

住まいに関するブログ

自然素材に関するブログ

日々おもうこと

ごあいさつ
社長あいさつ